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もとへもどる |
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「黒いキツネ」より |
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7 |
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ゆき子はきみわるくなって、ふりむきもしないで、いちもくさんににげだしてしまいまったのです。 「とってもゆき子、こわかったのよ。でも……なんだかだいじそうだったけど、ほんとにすてたのかしら……」 人っ子ひとりとおらないこのどぶ川のほとりに、ひゅーんとふく木がらしの音、すきまだらけの小屋の板が、がたがたと音をたてて、こんやは、いっそうきみわるくせなかが寒くなるような夜です。 ■台詞 おばあさん 「へえ……おそろしいことがおきなければ いいがね………」
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8 |
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しんぱいそうに、ロウソクの下で、ゆき子とおばあさんは、わけのわからない、へんな地図を、みつめていました。 そのときです。 どんどどん……表の戸がわれんばかりにたたかれたのです。 ■台詞 ゆき子 「ど どなたです?」
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9 |
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「まあ、あなたは!」 いきをきってかけこんできたのは、いまうわさをしていた、あの外人の少女ではありませんか。ゆき子もおばあさんもびっくりして、しがみついてしまいました。 「ソーニャというものです。その地図を……まちがえてなげたのです。おねがい、かえしてください。」 ふうふうといきをはずませています。 それに、ひるまよりいっそうまっさおな少女の顔…! 「やっぱり、なにかたいへんなことがあるんだわ。」 |
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10 |
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ゆき子は、地図をかえそうとして、そーっと手と手がふれたとき、ソーニャのからだがぶるぶるとこきざみにふるえているのが、はっきりとかんじられたのです。そして、しきりにそとを気にしているようなのです。 「どうしたの、よかったらお話して!」 それまでびっくりして口もきかなかったゆき子とおばあさんの、しんせつなことばに、ソーニャは、ほっとしたように口をひらきました。 ■台詞 ゆき子 「わたしたちで できることなら おちからになりますわ」 ソーニャ 「は はい わたくし…わるい人たちにねらわれているのです」
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「こわい、こわくてたまらないんです…」そういいながら、ソーニャはなみだでひかる目をあげたとき、はっ! としたように、「だれかきましたわ、いけない!」 そうつぶやくと、矢のようにとびだしていってしまったのです。 「あっ!」 あっけにとられたゆき子たちは、戸口につったったまま、暗やみをかけてゆくソーニャをぽかんとみつめました………! ■台詞 ゆき子 「あっ ソーニャさん まって!!」
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