昭和ひとけた京育ち No.2 「子守」
 
No.2 「子守」

子守

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 昭和ひとけた…。まさに暗黒の日本の幕開け。でも、子供たちの根底から覆す、あの戦争までの日々には、あふれるほどの豊かな思い出が残せた。どの家も子だくさんだっただけに友も仲間も多く、同じ楽しみ、喜びをいっぱい共有できた。

 それにしても、あのころは本当に子供が多かった。どの家庭にも、4、5人なんてざら。上の子は学校から帰ると、下の子の子守やお使い。女の子は母親そっ くりの節回しで、子守歌を歌い、体を左右にゆっくり揺らせ巧みにあやしていた。

 時には「そんなぐず言うたら、子取りにやってしまうえ」と、これまた母親そっくりの厳しい口調と表情。なんともおかしく、ほほ笑ましい光景だった。

 今の若い母親の育児ノイローゼなんて、別世界のよう。次代の母親ジュニアたちの、たくましかったこと。

(絵と文:木村祥刀)

京都新聞 1994 年 10 月 5 日 掲載
 


     

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