昭和ひとけた京育ち No.14 「ペット」
 
No.14 「ペット」

ペット

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  動物が好きだから、つい毎回犬や猫を描いてしまうけれど、戦前は犬、猫のほかに、荷車を引く馬や牛が、町なかをかっ歩していた。犬なんかはまるで、おとぎ 話の桃太郎のお供のように、つきまとって跳んだり、はねたり。時には子供のご主人が、悪童連中にからまれたりすると、猛然と吠(ほ)えたてて忠犬ぶりを発 揮してくれた。

 今、テレビでは、ペット・フードがコマーシャルに登場。街にはペットの美容室まであって、下にも置かない扱いだ。しかし、戦前の犬や猫は飼っているという より、さりげなく一緒に暮らしている感じだった。食べ物も「ネコマンマ」と称して、残ったご飯にみそ汁をかけた粗末なものばかり。

 昭和9年。東京の渋谷駅前に忠犬ハチ公の像が建ち、その忠犬ぶりを小学校で習い感動した。あのころの犬や猫にも、食べさせてやりたかったなあ、今のおいしそうなペット・フードを。

 (絵と文:木村祥刀)

1994年11月8日 京都新聞 掲載


     

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