昭和ひとけた京育ち No.21 「ままごと」
 
No.21 「ままごと」

ままごと

前へ 次へ

 

 「まあ〜、しばらくどしたなあ」「きたないところやけど、お上がりやすぅ」

 ろーじの中や軒下で、大人をまねるこまっちゃくれた会話が聞こえてきたら、それは女の子のままごと遊び。

 ゴザをひろげ、おもちゃの茶わんや皿を並べ、木の実や葉っぱがお菓子やご飯になって。

 「お忙しおすかぁ」「貧乏ひまなしで、ほほほ」と口をおさえ、体をくねらせて愛想笑い。

 女の子ならだれもが楽しんでいた、ユーモラスな会話としぐさの模倣あそびは、さほどの変化もなく、淡々とつづく。

 でも、男の子が一人で近づいたら、もう悲劇。

 「あ〜ら、お宅のぼん、大きならはって」「かわいらしいこと」なんて言われて、無理やりひきずりこまれ、話題にされて揚げ句の果ては病人に。寝かされ、熱をはかられて「あ〜、もういややあ」。

  (絵と文:木村祥刀)

 1994年11月23日 京都新聞  掲載


     

Top page にもどる

目次1にもどる   - サムネイル付き

目次2へすすむ  - サムネイル付き

 
ロゴ
Copyright © Librairie Seizan
All Rights Reserved

 


Librairie Seizan of KYOTO  Established 1996


inserted by FC2 system