「まあ〜、しばらくどしたなあ」「きたないところやけど、お上がりやすぅ」
ろーじの中や軒下で、大人をまねるこまっちゃくれた会話が聞こえてきたら、それは女の子のままごと遊び。
ゴザをひろげ、おもちゃの茶わんや皿を並べ、木の実や葉っぱがお菓子やご飯になって。
「お忙しおすかぁ」「貧乏ひまなしで、ほほほ」と口をおさえ、体をくねらせて愛想笑い。
女の子ならだれもが楽しんでいた、ユーモラスな会話としぐさの模倣あそびは、さほどの変化もなく、淡々とつづく。
でも、男の子が一人で近づいたら、もう悲劇。
「あ〜ら、お宅のぼん、大きならはって」「かわいらしいこと」なんて言われて、無理やりひきずりこまれ、話題にされて揚げ句の果ては病人に。寝かされ、熱をはかられて「あ〜、もういややあ」。
(絵と文:木村祥刀)
1994年11月23日
京都新聞 掲載
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