子供たちが正月から、けんかをしたり、泣いたりわめいたりすると、
「年の初めから、いがみおうてたら、1年中仲よお暮らせへんえ」
としかられて、ふだんのわんぱくはすべてご法度。
女の子たちは晴れ着姿で口に紅をさすと、まるで人が変わったように、お上品な振る舞いでおすまし顔に。でも、三が日が過ぎてふだん着にかえると、いつものおてんば少女に逆もどり。
押し絵の立派な羽子板から、板に絵を描いただけの実用品に持ちかえて、
「ひとめ ふため みやこし よごめ〜」
と、歌いながら羽根を追う。
羽根つきには1人での遊びと、2人で楽しむ追い羽根とがあって、羽根は丸いムクロジの種子(たね)に鳥の羽をつけ、2枚羽、3枚羽の2つがあった。
寒い底冷えの京都の街なかに「カーン、カーン」と響く、すみきった羽根つきの音は、やはり平和な、正月ならではのものであった。
(絵と文:木村祥刀)
1995年 1月10日
京都新聞 掲載
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