昭和ひとけた京育ち No.34 「どんど」
 
No.34 「どんど」

 
どんど

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 「子供は風の子」。そんな言葉があった戦前、昼間は冷たい北風の中を、かけ回っている子供たちも、早朝、登校する姿は背を丸めて、ブル、ブル、ブル。

 それを見かねてか、おじさんたちがよく道端でどんど(たき火)をして待っていてくれた。歓声をあげて火をかこむ子供たち。

  どんどや 正月

  どんどの神さん

  どんどとおかえり

 小正月(1月15日)には、近所から集めたしめ飾りなどを燃やして、正月ともお別れ。

 おじさんは立ちこめる煙に手をかざして、子供たちの頭をなでながら「これで勉強もようできるようになるし、この火で焼いたもちを食べると、病気もけがもせえへんしな」とやさしかった。

 でも今日は学校。

 「はよう行かなおくれるでえ」と、うながされても名残がつきなかった。あの大きな火のぬくもり。

  (絵と文:木村祥刀)

1995年 1月19日 京都新聞 掲載


     

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