「子供は風の子」。そんな言葉があった戦前、昼間は冷たい北風の中を、かけ回っている子供たちも、早朝、登校する姿は背を丸めて、ブル、ブル、ブル。
それを見かねてか、おじさんたちがよく道端でどんど(たき火)をして待っていてくれた。歓声をあげて火をかこむ子供たち。
どんどや 正月
どんどの神さん
どんどとおかえり
小正月(1月15日)には、近所から集めたしめ飾りなどを燃やして、正月ともお別れ。
おじさんは立ちこめる煙に手をかざして、子供たちの頭をなでながら「これで勉強もようできるようになるし、この火で焼いたもちを食べると、病気もけがもせえへんしな」とやさしかった。
でも今日は学校。
「はよう行かなおくれるでえ」と、うながされても名残がつきなかった。あの大きな火のぬくもり。
(絵と文:木村祥刀)
1995年 1月19日
京都新聞 掲載
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