たこ揚げと同様、こま回しは男の子たちの楽しい冬の遊びの一つだった。
こまは丸い木の胴を貫いた、細い金の心棒を中心に回転させる。
大きな子は地面で回すだけではない。ひもを引いて空中で回っているこまを、手のひらで受けて、鬼ごっこをしたり、回した瞬間、ひもの片方を肩にかけ、ひもの中央でこまを受けとめて綱渡りをさせたり。得意満面で曲芸を披露する。
回すこともおぼつかない小さな子にとっては、うらやましかったり、しゃくだったり。
こまもいろいろあって、うなりごま、だるまごま、佐世保ごま、博多ごま、平ごま、曲ごま、それに大きなこまの上に小さなこま二つをのせて追っかけあう競馬ごまも。
戦前、子供たちが宝物のように大事にしていたのは、曲ごまという安価でシンプルなものだった。
(絵と文:木村祥刀)
1995年 1月24日
京都新聞 掲載
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