竹馬を大人の背丈ぐらい高くして乗ると、びっくりするほど景色が変わり新しい発見がいっぱいあった。
今まで気づかなかった瓦(かわら)の形、一文字瓦や紋の入った瓦、雄瓦に雌瓦…。なかでも楽しかったのは、小屋根の上にすっくと立った魔よけの鍾馗(しょうき)さん。
その姿はいろいろだが、小さいながらどれもが精かんで勇猛な像ばかり。鬼を足で踏みつけ、長髪を逆立てて目をカッと見開いたり、両足を踏んばり剣を振り上げ衣をひるがえし鬼の首をむんずとつかんだ像などは竹馬から落ちそうになるほど驚いたものだった。
やがて友達らと竹馬に乗り、遠くまで鍾馗さんめぐりや、鬼瓦、卯建(うだち)、虫籠窓(むしこまど)めぐりと竹馬遊びの思い出はつきない。
(絵と文:木村祥刀)
1995年 2月15日
京都新聞 掲載
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