チンチン電車が走ります チンチン ゴーゴー チン ゴーゴー
輪に結んだ縄の前と後ろに運転の子と車掌役の子が入って、町内中をひと回り。一人遊びの子供たちが、次々とお客さんに加わり、あとは小さい子の足どりにあわせて「チン ゴーゴー」。
駄菓子屋さんをのぞいたり、お宮さんの「あ」「うん」のこま犬を見たりして、次は、みんなが大好きだった本物のチンチン電車を見物に。
「僕、大人になったら、電車の運転手になるわぁ。海軍大将は、もうやめや」「うちは車掌さんになる」。それぞれの思いが楽しく弾んで、また「チン ゴーゴー」。
クリーム色と茶褐色の懐かしいチンチン電車も、1961年に北野線が廃止されて姿を消し、「フワーン」という警笛の市電も、78年になくなった。今は、92年に登場した「チンチンバス」が、その面影をとどめるのみだ。
(絵と文:木村祥刀)
1995年 2月28日
京都新聞 掲載
|
|