昭和ひとけた京育ち No.52 「洗い張り」
 

No.52 「洗い張り」

洗い張り

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 季節が変わるころになると、昔のお母さんたちには洗い張りの大仕事があった。

 着ていた着物をほどいて洗い、主に木綿の着物は米ののりをつけて板張りにし、絹物はふのりをつけて伸子(しんし=細い竹製で両端に針がついたもの)張りにした。

 板張りは長さ3メートルくらい、幅50センチほどの板に布を張って、日の当たるところに立てかけて乾かす。

 伸子張りは、着物のそで、身ごろ、えり、おくみ、とほどいて、もとの反物のように縫って洗い、両端を木の道具で挟み、横に張って伸子を10センチくらいの間隔で打ってゆく。

 はけでふのりを引いて乾かすと、次は縫い物の根仕事がつづいた。

 古い物は、身ごろを後ろ前に変えて仕立て直したり、子供たちの寝まきにしたりと、つつましい戦前の暮らしは、お母さんたちの手仕事で支えられていた。

(絵と文:木村祥刀)

  1995年 3月2日 京都新聞 掲載


     

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