季節が変わるころになると、昔のお母さんたちには洗い張りの大仕事があった。
着ていた着物をほどいて洗い、主に木綿の着物は米ののりをつけて板張りにし、絹物はふのりをつけて伸子(しんし=細い竹製で両端に針がついたもの)張りにした。
板張りは長さ3メートルくらい、幅50センチほどの板に布を張って、日の当たるところに立てかけて乾かす。
伸子張りは、着物のそで、身ごろ、えり、おくみ、とほどいて、もとの反物のように縫って洗い、両端を木の道具で挟み、横に張って伸子を10センチくらいの間隔で打ってゆく。
はけでふのりを引いて乾かすと、次は縫い物の根仕事がつづいた。
古い物は、身ごろを後ろ前に変えて仕立て直したり、子供たちの寝まきにしたりと、つつましい戦前の暮らしは、お母さんたちの手仕事で支えられていた。(絵と文:木村祥刀)
1995年 3月2日
京都新聞 掲載
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