昭和ひとけた京育ち No.55 「土管遊び」
 
No.55 「土管遊び」

土管遊び

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 工事現場に積んである砂利山や、材木、土管置き場を見つけると、冒険心いっぱいの子供たちは、平地の道路や原っぱにはないスリルを求めて集まってくる。

 土管の中は、女の子たちが独占して、マイホーム気分で、ままごと遊び。男の子たちは、ひざ小僧をすりむきながら、てっぺんへの一番乗りをめざす。

  お山の大将 ぼく一人 あとから来るもの 突き落とせ

 落ちて顔をしかめる子に、

  おたやんこけても 鼻打たん でぼちん打っても 鼻打たん 雨が降っても傘いらん 当たりきしゃりき ほっとけ ベェーだ。

 口をとんがらせて、やりあってもあとはケロリ。

 遠くで聞こえる紙芝居の拍子木に、ポケットの一銭玉を確かめあい、肩を組んでスキップで駆け出していったあのころ。なんのこだわりもなかった、遠い日々。

(絵と文:木村祥刀)

  1995年 3月9日 京都新聞 掲載


     

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