「挙国一致」や「八紘(はっこう)一宇」。やたら難しい標語が教室に張ってあった戦前。「よく遊び よく学べ」だけは、よく理解が出来た。
集団遊びでは、ドッジボールや三角ベース、馬跳びなど。なかでも道具のいらない馬跳びは、2人から多人数まで楽しめるだけに、学校帰りには家に着くまで、馬になったり跳んだり。余念がなかった。
家では夢中でおもちゃを手づくりし、竹とんぼづくりは得意中の得意。
こんなわけで「よく遊び」は3重丸の合格点だが、「よく学べ」の方はどうも…。でも当時、先生は素晴らしいことを言った。
机にしがみついているだけが勉強ではない。工夫しながら物を作るのも勉強。仲間と遊ぶことも、自然の中で草花や虫と遊ぶのも勉強。「よく遊び、遊びを通して学ぶんだ」と。
昔の子供たちは、そんな教えで大きくなった。(絵と文:木村祥刀)
1995年 3月14日
京都新聞 掲載
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