「見ーたぞ 見たぞ 太郎と花子が あやしいぞ」 「違う 先生にたのまれたことを話してたんや」
逃げ出す2人を、しつこくはやしたてる悪童たち。 「うーそや 顔見てみい お猿の尻より真っかっか」
戦前、子供たちがよくやったからかいは、その場かぎりの遊びではあった。
けれども、当時の風潮は「男女7歳にして、席を同じゅうせず」と言われて、小学校3年生からは男組、女組に分けられた。学習の内容も違い、だんだんと親しく話すことも、ためらうようになっていった。
「男と女が2人きり やらしいお話 やめてんか」
あっけらかんとしたひやかしでも、みんな意識過剰で、顔をあわせてもニコリともしなかった少年時代。
昭和ひとけたの男性は、女性との会話が下手と言われるのは、こんな変な時を過ごしたせいかも知れない。
(絵と文:木村祥刀)
1995年 4月20日
京都新聞 掲載
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