昭和ひとけた京育ち No.70 「男の子・女の子」
 
No.70 「男の子・女の子」

男の子・女の子

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 「見ーたぞ 見たぞ 太郎と花子が あやしいぞ」 「違う 先生にたのまれたことを話してたんや」

 逃げ出す2人を、しつこくはやしたてる悪童たち。 「うーそや 顔見てみい お猿の尻より真っかっか」

 戦前、子供たちがよくやったからかいは、その場かぎりの遊びではあった。

 けれども、当時の風潮は「男女7歳にして、席を同じゅうせず」と言われて、小学校3年生からは男組、女組に分けられた。学習の内容も違い、だんだんと親しく話すことも、ためらうようになっていった。

 「男と女が2人きり やらしいお話 やめてんか」

 あっけらかんとしたひやかしでも、みんな意識過剰で、顔をあわせてもニコリともしなかった少年時代。

 昭和ひとけたの男性は、女性との会話が下手と言われるのは、こんな変な時を過ごしたせいかも知れない。

(絵と文:木村祥刀)

  1995年 4月20日 京都新聞 掲載


     

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