おじいちゃん、おばあちゃんは経験豊かで、京都のしきたりや習慣、お作法におばんざいの作り方など、なんでも知ってる知恵袋だ。
でも不思議だったのは、縁起かつぎの話だった。
「食事のあと、横になると牛になる」 「ザルをかぶると背が伸びない」 「火遊びはおねしょする」 「敷居は親の頭。踏んで通ってはいけない」 「宵越しのお茶は飲むな」 「茶柱が立つと、いい事が」…。
子供たちが「なんで?」と聞くのを、一つ一つ説明してくれた物知り博士。楽しい昔話もしてくれた。
「昔、昔、ある所になあ」 「昔っていつ? ある所って、どこやぁ」
大笑いしながらも、なごやかに答えてくれて、ほのぼのとした毎日だった。
「罰が当たる」 「もったいない」と、お小言も言われたけれど、やっぱり大家族って、素晴らしかった。(絵と文:木村祥刀)
1995年 4月25日
京都新聞 掲載
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