教室が暗くなってきたと思ったら、ポツリ、ポツリと降り始めて、帰りには、土砂降りの雨。
「雨がザーザー降る晩に、豆狸(まめだ)が、とっくり持って酒買いに」
校門近くの大きなひさしの下で、口々に雨の歌を歌いながら雨やどり。やがて、爪皮(つまかわ)を掛けた高げたを履いて、蛇の目傘をさしたお母さんたちのお迎えは女の子ばっかり。
男の子たちは背中まで、はねをとばして走る走る。
「傘にお入り、風邪ひくよ」。近所のおばさんが呼んでくれても、ピチャピチャッ。途中で大きな水たまりを見つけると、真ん中にとび込んでひっくり返り、ついでに二、三回転。仲間を引きずり込んで、とっくみあいの大相撲。
子供のころは、大雨でも泥んこ道でも、なんでも遊びになった。でも、家の前まで来ると、お母ちゃんの顔が浮かんでションボリと。
(絵と文:木村祥刀)
1995年 5月 2日
京都新聞 掲載
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