あしたは学校から動物園へ写生にゆく日だ。勇ましいライオンを描きたいんだけど…。今夜は一番星も見えない、どんよりとした暗い空。
見上げながらはいていた下駄(げた)をけりあげて、祈るようにお天気占い。
下駄が表に向いて落ちたら晴れ、裏なら雨、横向きだったら嵐(あらし)だ。
小屋根のあたりで、くるりと回った下駄が落ちてきて、トン、トン、と地面でバゥンドして、「あかん!! 裏やぁ」「大丈夫や、屋根のミー子 顔洗ってへんもん」。妹が言うように、子猫のミーは知らん顔をしている。
猫が顔をこすると雨降りと聞いたけど、下駄占いとどっちが本当なんや。
憂うつでうとうとと過ごした早朝。妹の歓声で飛び起きたら、まぶしいほどの快晴だ。ミーは朝から好物のかつお節をもらって、誇らしげにミヤーンと鳴いた。
(絵と文:木村祥刀)
1995年 5月17日
京都新聞 掲載
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