昭和ひとけた京育ち No.80 「あしたのお天気」
 
No.80 「あしたのお天気」

あしたのお天気

前へ 次へ

 

 あしたは学校から動物園へ写生にゆく日だ。勇ましいライオンを描きたいんだけど…。今夜は一番星も見えない、どんよりとした暗い空。

 見上げながらはいていた下駄(げた)をけりあげて、祈るようにお天気占い。

 下駄が表に向いて落ちたら晴れ、裏なら雨、横向きだったら嵐(あらし)だ。

 小屋根のあたりで、くるりと回った下駄が落ちてきて、トン、トン、と地面でバゥンドして、「あかん!!  裏やぁ」「大丈夫や、屋根のミー子 顔洗ってへんもん」。妹が言うように、子猫のミーは知らん顔をしている。

 猫が顔をこすると雨降りと聞いたけど、下駄占いとどっちが本当なんや。

 憂うつでうとうとと過ごした早朝。妹の歓声で飛び起きたら、まぶしいほどの快晴だ。ミーは朝から好物のかつお節をもらって、誇らしげにミヤーンと鳴いた。

(絵と文:木村祥刀)

  1995年 5月17日 京都新聞 掲載


     

Top page にもどる

目次1にもどる   - サムネイル付き

目次2へすすむ  - サムネイル付き

 
ロゴ
Copyright © Librairie Seizan
All Rights Reserved

 


Librairie Seizan of KYOTO  Established 1996


inserted by FC2 system