昭和ひとけた京育ち No.88 「生きもの大好き」
 
No.88 「生きもの大好き」

生きもの大好き

前へ 次へ

 

 しー こいこい しー。

 男の子が草むらでおしっこを始めると、蛙(かえる)たちがびっくりしてピョン、ピョンと跳び出してくる。それを申し訳なさそうに頭や肩にのせて、ごめん、ごめん。

 男の子たちは、だれも生きものが大好きで、ほ乳類でも、は虫類でも平気で捕っては、かわいがっていた。

 でも、時には残忍なことも平気で、蛙のお尻(しり)に麦ワラのストローで息を吹きこんでふくらませたりと、ひどいこともしたけれど命を救ってやった事もあった。

 ある雨の日、小さな蛙がおびえたように、うずくまっているのを見つけた。

 なんと草むらで蛇が赤い舌をだして狙っている。

 一大事だ、と、蛇を追っぱらうと、蛙はうれしそうにピョーンとジャンプした。

 蛇ににらまれた蛙 そんなたとえを聞いたけど、本当だったとつづり方(作文)に書いた覚えがある。

(絵と文:木村祥刀)

  1995年 6月 6日 京都新聞 掲載


     

Top page にもどる

目次1にもどる   - サムネイル付き

目次2へすすむ  - サムネイル付き

 
ロゴ
Copyright © Librairie Seizan
All Rights Reserved

 


Librairie Seizan of KYOTO  Established 1996


inserted by FC2 system