3年生の宿題で「変だと思うものを調べてきなさい」と、先生に言われて「これや」と思いついたのが、どこの家の軒下にもつるしてある「おまじない」みたいなものだった。
節分には赤い紙垂(しで)のついた柊(ひいらぎ)の枝に魚のイワシの頭をつけてつるしてある変なもの。
「なんや、これ?」と聞いてみると、家の中に悪いものが入りこむのを、葉のトゲで突き、魚のにおいで追い出す「厄よけ」だった。
丸い茅(ち)の輪は天神さん。ちまきは祇園祭の厄よけ。
長い炭を半紙に包んだものは、大文字の送り火の「から消し」で、これも魔よけ。
京都には悪魔がいっぱいいるらしい、と宿題に書いたら、先生が一筆。京都の人たちは、神仏をあがめ大切にしながら生活をしているのです。君たちもこの心を忘れずに、と書きそえてあった。
(絵と文:木村祥刀)
1995年 6月21日
京都新聞 掲載
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