昭和ひとけた京育ち No.95 「軒下の厄よけ」
 
No.95 「軒下の厄よけ」

軒下の厄よけ

前へ 次へ

 

 3年生の宿題で「変だと思うものを調べてきなさい」と、先生に言われて「これや」と思いついたのが、どこの家の軒下にもつるしてある「おまじない」みたいなものだった。

 節分には赤い紙垂(しで)のついた柊(ひいらぎ)の枝に魚のイワシの頭をつけてつるしてある変なもの。

 「なんや、これ?」と聞いてみると、家の中に悪いものが入りこむのを、葉のトゲで突き、魚のにおいで追い出す「厄よけ」だった。

 丸い茅(ち)の輪は天神さん。ちまきは祇園祭の厄よけ。

 長い炭を半紙に包んだものは、大文字の送り火の「から消し」で、これも魔よけ。

 京都には悪魔がいっぱいいるらしい、と宿題に書いたら、先生が一筆。京都の人たちは、神仏をあがめ大切にしながら生活をしているのです。君たちもこの心を忘れずに、と書きそえてあった。

(絵と文:木村祥刀)

  1995年 6月21日 京都新聞 掲載


     

Top page にもどる

目次1にもどる   - サムネイル付き

目次2へすすむ  - サムネイル付き

 
ロゴ
Copyright © Librairie Seizan
All Rights Reserved

 


Librairie Seizan of KYOTO  Established 1996


inserted by FC2 system