盆地特有のうだるようなむし暑い京都の夏。きびしさは今も昔も変わりないけれども、うちわ一つで涼をとっていた昔は、梅雨明けを待ちかねて建具は夏用に替え、籐(とう)の上敷きをしき、すだれや風鈴をつって、こまやかな心くばりで夏を迎えたものだった。
それでもバテる夏、子供たちの楽しみは水遊びをかねた行水だった。冷たい水をタライいっぱいに入れて、ザブッと飛び込んだときの、あのさわやかさ。
丸坊主の頭を西瓜(すいか)を冷やすように、いつまでもつけっぱなしにして。
やがて夕食をおえた子供たちが、ポンポン(あせも薬の天花粉)で顔じゅうをまっ白にして飛び出してくる。
女の子はゆかた姿で、背に結んだ帯をひるがえし、おじさんたちはすててこで、おばさんたちはあっぱっぱ。夜の更けるまでなごやかに涼んでいたものだった。
(絵と文:木村祥刀)
1995年 7月 4日
京都新聞 掲載
|
|