昭和ひとけた京育ち No.101 「ガキ大将」
 
No.101 「ガキ大将」

ガキ大将

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 「なんでお姉ちゃんを泣かすねん。あやまれっ。あやまらな通さへん」。見上げるほど大きな6年生に、わめきながらとびかかる1年坊主。声を聞いてとび出してくる仲間たち。

 ろじや、裏通りに活気に満ちた子供たちが、いっぱいだった昔、仲間うちに君臨するガキ大将がいた。小さくてもガキ大将は正義の味方。

 「このお兄ちゃん、お姉ちゃんが好きなくせに、いけずばっかりするんや」。妹が叫ぶ。すけだちの仲間たちは、こわごわチャンバラよろしく、棒っきれを構えて、「あやまれ、あやまれ」の大合唱。大きな子は照れたように、「かんにん」と退散だ。

 ガキ大将がいた戦前。弱きを助け、いじめは許さん、というルールがあった。小さな大将も先輩大将から、遊びのなかで教えられて、仲間うちから頼りにされる存在であった。

(絵と文:木村祥刀)

  1995年 7月 5日 京都新聞 掲載


     

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