手回しの氷けずり機が、シヤッ、シヤッと、心地よい音をたててガラスのうつわに白いかき氷が盛り上がる。イチゴ水やレモン水などお好みのミツをたのむと、「はい、おまっとうさん」と、新聞紙の上にうつしかえて、駄菓子屋さん特製の、氷まんじゅうの出来上がり。
うだるような猛暑の中で、汗だくになって遊んだあと、氷まんじゅうにかぶりついた時の、あの、あの感じ。頭のしんがジーンと痛いぐらいにしびれて…。
「たまらんのやなぁ」。ある時は虫歯にビリリッとしみるのを、足ぶみしてこらえて、またガブリ。
夏の駄菓子屋さんには他に、ニッキ水やラムネなどがあった。ニッキ水はひょうたん型の小さいビンに入った飲みもので、もみがらに埋まって並んでいた。でも、なににもまして夏一番の人気菓子は、一銭玉で買えるあの、荒けずりの氷まんじゅうだった。
(絵と文:木村祥刀)
1995年 8月 1日
京都新聞 掲載
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