なんまいだぁ、なんまいだ、なんまいだったら、なんまいだぁ。
子供たちの快活な声にまじって、伏せ鉦(かね)の音が、チーン、チーンと響くと、長い大きな「じゅず」回しが始まる。
毎年、8月20日を過ぎると子供たちにとって、夏休み最後の楽しい行事、地蔵盆を迎える。やり残しの宿題も忘れて「なんまいだぁ」と声を張り上げて。あとには福引や金魚すくい、紙芝居と楽しい遊びが盛りだくさんに待っている。
京都市内には5千体を超えるお地蔵さんが、小さな唐破風の屋根のお厨子(ずし)におさまって静かにほほえんでいる。明治の廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)の
嵐(あらし)をのりこえた子供たちの守り仏お地蔵さんは、平成の今もビルの谷間で鎮座する。染めの町では友禅の前掛けをつけ、織りの町では金らんの織物に
飾られて。
(絵と文:木村祥刀)
1995年 8月 8日
京都新聞 掲載
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