剪紙について

 剪紙とは、中国大陸では八世紀ごろから行われている、ポピュラーな民間芸術のひとつです。

 ほんらい「剪紙」とは、ハサミで切りぬいたものをいい、小刀で切ったものは別に「刻紙」と呼んだそうです。その後時代が下って、現在では切り紙細工全般を剪紙と呼んでいます。

 切り絵と聞くとわたしたちは、影絵のように細部をデフォルメした、シンプルな作品を思い浮かべますが、中国の剪紙はその緻密な図案と技量に驚嘆させられます。

 青年期の下積み時代に、漫画や劇画の分野で活躍してきた祥刀は、そのなかでペン画の技法を完璧に修得しました。

 あいまいな線のない、細部まで精緻に描きこまれたペン画による下絵を、そのままペンナイフに持ち替えて切りぬいてゆく。「一刀入魂」ということを制作のモラルとして己に課し、昭和ひとけた世代に特有の気骨と驚くべき集中力で、独自の作風を生み出しました。

(M.K.)







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