昭和ひとけた京育ち No.8「トンボとり」
 
No.8「トンボとり」

トンボとり

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 カブト虫、カマキリ、バッタにチョウなど、虫たちはみんな子供の友達。 中でも、初夏から秋半ばまで姿を見せるトンボは、どの子も好んで追っかけた。

 鴨川、高野川の河原にはカワトンボ、イトトンボ、ハグロ、シオカラ、アカネにヤンマなどが、群れ舞っていた。

 尾の先で水面をチョン、チョンとたたいて急上昇、水平飛行から、また急降下する姿は、のびやかで楽しい。中でも人気者は、大きな体で悠然としたオニヤンマ。子供たちは知恵をしぼって、捕らえる仕掛けをつくった。

 赤や青のセロハン紙に、小石を包み、細い糸の両端につける。2つの振り子のようにした仕掛けを、そーっと投げ上げると、ヤンマは急旋回、くるくる糸にからまって、歓声の中に落ちてくる。

 虫たちは、移りゆく季節も教えてくれる。秋の夕焼けの空に舞うのは赤トンボ。程なくコオロギの声か。


  (絵と文:木村祥刀)

京都新聞  1994  年 10 月 25 日掲載


     

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