学校の庭で拾い集めたドングリが、両手にいっぱい。クリの実を小さくしたような、丸くて愛らしい実。
「食べたら、しゃべれなくなるえ」と、よく言われたドングリ。しかし、女の子はままごとのお菓子にしたり、穴をあけて糸を通し、ジュズつなぎにして首飾りに。男の子はパチンコで飛ばす小石のかわりや、ビー玉にも、と大活躍してくれて。
さて、ポケットに残った10数個は、何にしよ…。夜の食事がすんで、寝るまでのひと時。テレビなんて娯楽のない時代の夜は長い。畳の上に転がしたドングリが、左右にコロコロと。「そや、ヤジロベエや」。
くしの竹ひごを探してきて、ドングリに穴をあけて竹ぐしを刺す。Tの字形にして、指の上にのせれば、ユラーリ、ユラーリ。うまくバランスがとれたら、ヤジロベエの出来上がり。
子供は遊びの天才。何にでも遊びを見つけて楽しんだ、過ぎし日々が懐かしい。
(絵と文:木村祥刀)
1994年12月6日
京都新聞 掲載
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