「ピッ、ピッ、ピーヒャラ、デンデン、ピーヒャララ」
笛と太鼓に合わせて、真っ赤な顔の獅子(しし)が舞う。大きな口を開き、金色の歯を「カチカチ」と鳴らして。
戦前、初春の祝いとして、松の内(元旦から15日)には、どこにでも見られた光景だった。
一軒、一軒あいさつの声をかけ、踊り舞う獅子舞いに、家々の人がご祝儀のお金を渡す。獅子は一礼するや、「ガバッ」と大口をあけて子供たちの頭にかぶりつく。
かんでもらうと縁起がよいうえ、無病息災で暮らせるとかで、踊りながら追いかけてくる。子供らが悲鳴をあげるうしろから、にぎやかな歌声が…。
「さーあて めでたづくしで申すなら 町内安全 家内安全 めでたいなぁ どちらを見てもえびす顔 どの家のお蔵も米千俵 お宝 山とつみあげて ピッ、ピッ、ピーヒャラリ 神国日本 栄えあれ ピッ、ピッ、ピーヒャララ」
(絵と文:木村祥刀)
1995年 1月12日
京都新聞 掲載
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