昭和ひとけた京育ち No.47「せっせっせ」
 
No.47「せっせっせ」

せっせっせ

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  夏も近づく 八十八夜  野にも山にも 若葉がしげる トントン

 女の子同士が出会い、手を取り合って楽しそうに話し、笑って、やがてどちらからともなく、手のひらで、「せっせっせ」とお手合わせ。

 あれに見えるは 茶摘みじゃないか トントン

 女の子は遊びながら、いつも歌っていたようで、童謡や唱歌をテンポをはやめたり、替え歌にしたりしてたのしんでいた。

 昭和13年から14年にかけて、女性のパーマネントや町のネオンが禁止され、衣服も純絹製が “スフ” に、金属製品も竹、木、陶器の代用品になり、車はガソリン不足で木炭車、靴は豚革、おもちゃもブリキ製はなくなっていった。

 でも、子供たちはくったくなく、工夫した遊びで、歌い、笑い、楽しんでいた。

 旅順開城約なりて トン敵の将軍ステッセル トントン

  (絵と文:木村祥刀)

1995年 2月21日 京都新聞 掲載


     

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