昭和ひとけた京育ち No.48 「お下がり」
 
No.48 「お下がり」

お下がり

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 昔、兄弟や姉妹の多い家では、一つの衣服や学用品を、順送りに下の子まで回して使った。

 衣類などは2人、3人目ともなると、色はあせ、つぎが当たったものばかり。大きな服は体に合わせ、今でいうリフォームされて、末っ子はただじーっと我慢の子 であった。

 でも、上の子でも決して新品ばかりではなく、親類や近所からのお下がりがたくさんあった。

 とんとん とんからりと隣組 格子を開ければ顔なじみ まわしてちょうだい 回覧板

 こんな歌が「国民歌謡」として歌われだし、町内が組織化されて隣組が出来たのが昭和15年9月。

 ご近所とも一層親密になって、お下がりも次々といただいた。「あの子は級長さんやし、お下がりを着て見ならわんと」なーんていわれて。

 やがて街角には、「ぜいたくは敵だ」と書かれた看板が立ち始めた。

  (絵と文:木村祥刀)

1995年 2月22日 京都新聞 掲載


     

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