ろくぼくは漢字で「肋(あばら)」の「木」と書く。肋骨(ろっこつ)のように横木の入った体操用具ろくぼくは、戦前、どこの学校でも校庭に備えつけてあった。
高学年用で体操の時間には、この用具で準備運動。なか程まで登り、正面を向いて胸をそらしたりの屈伸運動から、登って越えてを繰り返して体をならした。
子供たちは、木登り、がけ登りと高い所が大好きで、1年生坊主にとっては興味津々だった。放課後、こっそりと近づいて、恐る恐るよじ登っては飛び降りて、また登る。
「悪いな、悪い子、先生に言うたろ」
女の子たちの声にも、
「今日耳日曜、言うなら言うてんか。しゃべり、憎まれっ子、ベェーだ」
不安と気負いで、入学した1年生たちも、わずかの間にこの変わりよう。だれもが通り過ごした、わんぱく盛りだった。 (絵と文:木村祥刀)
1995年 3月16日
京都新聞 掲載
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