「地獄、極楽、えんまさんのとこへ、とんでいけえ」
丸く描いた円の中に、後ろ向きに入った2人が「デデンのデン」と尻(しり)を突き出して、相手を外へはじき出す。手を使ったら反則で、肩か、背中か、尻だけで押し出す活発な遊びだった。
体をくねらせ相手の押しをかわして、すきを見て「デデーン」。ふらついて体勢をたて直そうと、歯をくいしばる様子がおかしくて、順番を待つ子がおなかをかかえて、「キャッ、キャッ、キャッ」。
楽しい遊びは伝わるように、あちらの女の子も、こちらの子も、尻を向けあって「デデンがデーン」。
無邪気な歓声と悲鳴が、あきることもなく続き、やがて、「お買い物に行ってぇ」、「お手伝いしてやぁ」と、お母さんたちの声に一瞬しーん。渋々手を振って別れてゆく。
楽しかった遠い昔の毎日。
(絵と文:木村祥刀)
1995年 6月 7日
京都新聞 掲載
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